ある男の人が、キャッシングを利用したいと思いました。70歳を過ぎていますが、勤めで働いています。急にお金が必要になりました。知人に海外旅行に誘われたのです。贅沢かとも思いましたが、生きているうちに外国を見てみたい、という気持ちも起こりました。次の給料までには、まだ時間があります。まとまった金が必要です。

キャッシングというのは、金融機関の現金自動支払機で、個人が利用する小口の融資のことです。使い道は自由です。現在は、インターネットでも借入の申込ができます。利用者の口座に、即日で振り込んでもらうことも可能です。身分証明書、収入証明書が必要です。場合によって、身分証明書だけで借り入れできます。この融資が利用される理由は、色々あります。店舗に行って人と会いたくない。すぐにお金が欲しい。家族に内緒で借りたい。

調べてみると、消費者金融では、69歳までは大丈夫なのに、70歳になると借りられない、ということが分かりました。高齢者でも、年金を受給していれば、それを定期的な収入と見なされて、キャッシングを受けられるようです。しかし、立ちはだかったのは、収入制限ではなく、年齢制限でした。銀行のカードローンでも、65歳まではカードを作れます。しかし、その期間の更新は、70歳までしかできないそうです。結局、70歳の壁に突き当たります。海外旅行は、あきらめようかと思いました。

年齢制限の裏には、利用者の健康に対する見方があるようです。70歳を過ぎれば、一般的に、体力が衰え、病気になりやすくなります。働きたくても雇ってもらえない。働くことができても、収入も安定しない。借金の返済も難しくなる。それで貸せない。この扱いは、高齢者は更に支出を減らして、生活水準を引き下げなさい、という意味でしょうか。それとも、金持ちでない高齢者は、その境遇に似合った質素な生活を強制されるのでしょうか。金持ちでも、何かの原因で、普通の庶民になってしまうこともあるでしょう。

日本では、2035年には、3人に1人が65歳以上になるそうです。ある公的機関の見解です。これから20年も経つと、道を歩いていて、すれ違う人の3人に1人は、65を過ぎた高齢者、ということになります。誰でも年をとりますから、この動きは止められないでしょう。日本は世界一の長寿国です。年金、社会保障、医療、介護、高齢者の就職、認知症、独居老人、詐欺事件など、高齢者に関する問題は山積みです。

寿命がこれからも延びれば、70歳の人間も、60代の人と同じように受け入れる、社会の仕組みが必要です。社会のいくつかの分野では、高齢者の扱いを変える機運が出てきています。高齢者を相手にする産業が増えてきて、高齢者を有利に扱う設備や精度も増えています。

70歳以上を受け入れるキャッシングが、出てきてもいいのではないだろうか。その人はそう考えました。世の中には、70歳を過ぎても、元気に体を動かして働いている人がいます。金のためでなく、生き甲斐のために働いている人もいるでしょう。インターネットを調べていると、70歳過ぎでも貸してくれるキャッシングが見つかりました。大手の会社ではないですが、安定収入があれば、何とか融資が受けられそうです。本当に大丈夫なのか、問い合わせてみることにしました。また、海外旅行の夢が膨らみ始めました。